京都 進路資料室

-京都の高校 大学合格実績-

京大合格数の変化~公立と私立を比較

1990年代の後半以降、京都では公立高校の進学実績向上のための施策(大学進学に重点を置いた専門学科の設置や公立中高一貫校の開設など)が行われ、難関大学の合格者数が増加してきたと言われています。

そこで、京都大学の合格者数の変化について公立高校と私立高校とに分けてグラフ化してみました(京都教育大附属高は私立に分類しています)。

 

※追記(2017/12/18)

あるビジネス雑誌の記事配信サイトの掲示板(コメント欄)で、京都市の教育改革(「堀川の奇跡」など)を取り上げた記事に関して、京都で実施されていた総合選抜や小学区制などの議論がされており、投稿者のおひとりが当ブログを紹介して下さっていることに最近気が付きました。

総合選抜や小学区制をめぐる論争は、戦後ずっとされてきたものだと思います。とりわけ京都の場合は、かつての革新府政の施策の評価と結びついて、非常に政治的な色彩を帯びて争われてきましたので、うかつなことを書くと、あらぬ誤解や攻撃を受けかねないデリケートな問題だと認識しています。ただ、どちらの立場にせよ事実に基づいた議論がなされるべきだと思いますので、当ブログで書いている内容がその一助になれば幸いです。

なお、公立高校から難関大への合格実績が70年代以降低下したことをもって、単純に小学区制や総合選抜が悪いとか、現在の高校入試制度のほうが優れているという一面的な認識は私自身は持っていません。時々の時代背景、社会経済的な要因が複雑に絡み合って、良い面も悪い面も双方にあるという、ごくありきたりな考え方をしています。歴史をめぐる論争に共通することですが、過去の出来事をどう評価するかは多面的な事実に基づいて慎重になされるべきですし、自らの政治的主張を基にして一方的に断罪するようなことは避けたいものです。したがって、当該掲示板で当ブログを紹介してくださった方と私とは考え方に隔たりがあると思っています。

また、当ブログでは京都府内の高校の進学実績を取り上げていますが、「難関大への合格実績が高い高校だけが良い高校だ」と主張するためのものではないことを、この機会に申し添えます。

 

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1974年は公立高128人(48.7%)に対して私立高135人(51.3%)ですから、ほぼ同数です。その後、差はどんどん開いていき、90年代後半から2000年頃には1:9くらいの比率となります。

そのような状況の中、96年に嵯峨野に京都こすもす科、99年堀川に探究科、2003年西京にエンタープライジング科が設置され、2004年には洛北と西京に附属中学が開設され公立中高一貫校となります。「堀川の奇跡」は2002年のことですが、それ以降いわゆる公立御三家(堀川・嵯峨野・西京)を中心に公立高の京大合格者数は増加していきます。

一方、私立高は90年代から2000年代初めまでは洛南と洛星の2校だけで毎年200~250人の京大合格者がいましたが、2005年以降は減少傾向が続いています。2015年には公立高145人(48%)に対して私立高151人(52%)と、1974年と同水準になりました。

私立高の京大合格者数減少の理由の1つは、2000年前後から顕著となった医学部志向の高まりがあるとされています。バブル崩壊や90年代後半の金融不安など長引く経済不況と雇用情勢の変化の中で、文系よりも理系、そして理系の中でも安定性と社会的ステイタスの高い医師資格をという傾向が強まり、従来ならば東大・京大を目指していた層が各地の国公立大学医学部を目指すようになったいうことです。

確かに洛南などは2000年代初頭と比較すると医学部合格者が大幅に増えています。しかし、医学部志向というだけで説明がつくのかどうかは、90年代以前の医学部合格数についてのデータが不足しているため何ともいえません。それについては別の機会に改めて考えたいと思います。

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合格数は各年の「サンデー毎日」掲載の高校別合格数を基に集計しています。ただし、1974年と1980年は合格数が1名の高校は掲載されていないので2名以上の高校のみの集計です。また、2000年以降は国立大学の合格発表で氏名の公表がされなくなったために、特に初年度である2000年の数値は精度が落ちると思われます。2010年以降については各高校の案内パンフレットや公式サイトで合格数が確認できるものについては、そちらの数字を優先しています。

あくまで雑誌等を基にした独自の集計ですので参考程度のものとご理解下さい(教育委員会などが作成した公式の統計があるといいのですが)。ただし、それでも大まかな傾向は読み取れると思います。

なお、公立高校は基本的に京都府内在住の生徒が在籍していますが、私立高校には大阪、滋賀などの他府県在住の生徒もいますので、上のグラフは京都府出身者の京大進学数ではないことにご留意下さい。

 

京教大附属高~東大・京大・医学部合格数の推移~

京都教育大学附属高校の今年の大学入試結果が学校公式サイトで公開されましたので、過去15年間の最難関大(東大・京大・国公立医学部)合格者数をグラフにしました。

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京教大附属の生徒数は1学年200人ほどです。10年前の2007年には浪人生も含めてですが学年の約4分の1にあたる51人(25%)が京都大学や国公立大医学部に合格していました。今年は10人(4.9%)ですから10年前の5分の1に減っています。

グラフを一見すると明らかですが、2010年を境にして合格数が大幅に減少し、若干の上下はあるもののその後も減少傾向が続いており、今年がたまたま悪かったという状況ではありません。

2010年は、京都府で初の公立中高一貫校となった洛北と西京の附属中1期生が卒業して大学受験を迎えた年にあたります。この年、洛北・西京ともに京都大学合格数を前年から大きく伸ばして京都ではちょっとした話題になりました。

京教大附属の進学実績が低下した原因については、①進学実績向上のための公立高校改革によって、高校入試においては堀川や嵯峨野、西京といった進学校に公立中の成績優秀層が集まるようになった。②京教大附属中学(京都中と桃山中の2校ある)から附属高に内部進学せずに堀川高などの外部へ出るケースが増えた。③中学入試においても2004年以降は洛北、西京附属中と競合するようになった、ということが以前から指摘されています。

①~③それぞれの要素が絡み合っているのでしょうが、今年の京教大附属高の進路結果については、とりわけ2010年の洛北・西京の大学合格実績の上昇が、それ以降の京都の中学受験を志向する家庭の志望校選択に影響を与えた側面が大きいように思われます。今年3月に高校を卒業した生徒達は2011年に中学受験をした世代であるからです。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2017 難関10大学合格数(修正版・前年比較つき)

週発売の週刊誌等を参考に難関10大学合格数の一覧を修正しました。また、前年からの増減も表に加えました。

そろそろ各高校の公式サイトで、今年の進学実績の更新が始まりました。順次、それらの情報を集めながら経年推移のグラフ等も作成していきたいと思います。

<更新履歴>

 04/07 京教大附属HPにて進路実績が更新されたので阪大、神戸大、東工大の合格数を修正

 04/13 紫野HPにて進路実績が更新されたのでの阪大、神戸大の合格数を修正

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2017年 京都大学合格者数ランキング

ブログでは京都の高校の進学実績を紹介していますが、全体の中での京都の学校の位置がどのくらいなのかも関心が高いと思われますので、京都大学合格者の高校別ランキングを掲載します。

※合格数が10名未満については京都の高校のみを掲載しています。

<更新履歴>

2017/05/07 京都光華1名追加(現浪は不明)

2018/01/08 一宮の17年合格数を修正。順位も変更

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2017 難関10大学合格数(前期+後期)

期の合格発表も終わりましたので、まだ暫定値ではありますが先日の記事で掲載した一覧表を修正します。数字の見落としがあるかもしれませんがご容赦下さい。

来週には「サンデー毎日」等で主要高校の一覧が出るでしょうから、その後に再度修正したいと思います。

⇒4月6日付にて更新した表を掲載しました。

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難関国立10大学の合格数が昨年比で10人以上増えたのは桃山(17増)、京都女子(12増)、洛北(11増)でした。

逆に10人以上減らしたのは堀川(24減)、京教大附属(15減)、洛星(13減)です。

洛南、西京、嵯峨野、立命館は横ばいでした。

もちろん、各校の国公立大医学部合格数がどうなるかで上記の「増えた」、「減った」の意味合いは全然変わってくるので、あくまでも現時点での状況です。

洛南~東大・京大・医学部合格数の推移~

前回、洛星の大学合格実績の推移をグラフにしてみましたので、京都の私立進学校のもう一方の雄である洛南についても同様にグラフを作りました。

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洛星は2002年からの15年間のグラフでしたが、洛南は2002年医学部合格数がはっきりしませんでしたので2003年からの14年分を作成しました。

洛南は2006年に中学・高校共に共学化しています。それぞれの女子1期生が大学入試を迎えた2009年、2012年に大学合格実績も上向いているのがわかります。

洛星~東大・京大・医学部合格数の推移~

京都を代表する進学校である洛星ですが、今年の大学合格実績では京都大学への合格者が大きく減少しました。

まだ後期(法学部)の合格数は判明していませんし、国公立大医学部の合格数についても全体像はわからないので、洛星の進学実績が極端に落ち込んだのかどうかは現時点では判断できません。

とはいえ、気にはなるので過去15年間の合格数の推移をグラフにしてみました。

※2016年の医学部合格数を修正(2017/04/20)

※2015年の医学部合格数を修正(2017/09/05)

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卒業生数は2004年までは260人前後、2005年以降は220人前後と変わっていますので、卒業生数に対する合格者の割合として「合格率」を折れ線グラフで表現しています。

当然、年によって上下に変動がありますが15年間を全体として見渡すと2010年を境にして、ゆるやかな低下傾向にあることが見て取れます(合格率が50%を切る年が増えている)。

今年の現時点での合格判明数(東大10、京大46)は近年では最低の合格率となった2010年の実績によく似ています。仮に今年の国公立大医学部の合格者数が昨年並み(35人程度)ならば合格率は42%前後です。もちろん、京大が減った分、医学部が大幅に増えて全体としては50%前後を維持している可能性もあります。

今年の数字が揃ったら、このグラフを更新したものを改めてアップしたいと思います。