京都 進路資料室

-京都の高校 大学合格実績-

京大合格数の変化ー公立と私立を比較(1990年~2020年)

■ 公立高校が京大合格数で私立を逆転

以前に2回、京都府内の高校から京都大学に合格した人数を「公立」と「私立(国立含む)」とに分けてグラフ化しました。今回は2020年までのデータを使った第3弾となります。

今年、公立高校からの京大合格者数は138人。一方、私立高校からは134人でした。公立の合格数が私立を上回るのは1974年以来ですから実に46年ぶりです。

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京都では1970年代以降、公立高校からの京大合格数が減少し、代わって洛星、洛南、京教大附属といった私立・国立高校が台頭しました。その傾向は2000年前後にピークに達し、京大に合格した京都の高校生の9割以上が私立高校出身という事態になりました。

その後、公立高校に進学指導に重点を置いた専門学科が設置されたり、公立中高一貫校が開設されたりした結果、公立高校からの京大合格者数が増加に転じ、2010年(洛北、西京の中高一貫1期生が卒業した年にあたります)以降は、私立と公立の合格数はかなり接近してきていました。

ただし、公立高校からの京大合格数は2012年に148人を記録した後は伸びていません。上のグラフを見ればわかるように近年は横ばいです。一方の私立・国立は若干増加する年があるものの全体の傾向としては右肩下がりが続いています。

 

 私立高校の京大合格減少は”医学部シフト”が原因?

「私立中高一貫校の京大合格数が減少しているのは、長引く不況の中で東大・京大よりも医学部を目指す受験生が増えたため」という指摘があります。いわゆる「医学部志向の高まり」「医学部シフト」という現象です。大学入試結果を伝える週刊誌などの報道でもよく目にする論説です。しかし、少なくとも京都の私立高校においてはデータ上、そのような東大・京大から医学部へという移動はあまり顕著ではないようです。

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上の表は2005年から2020年までの16年分の合格実績を前半と後半各8年分ずつでまとめて、その増減を比べたものです。表中の4つの高校はいずれも2005年当時、東大京大国医の合格数が多く、京都を代表する進学校と目されていた私立・国立高校です。

この中で医学部の合格数が増えているのは洛南のみです。洛星は横ばい、京教附と同志社は減っています。京大合格数では洛南を含めて4校すべて減少しています。東大でも洛南は減少、洛星は横ばいです。京教附と同志社は元々の合格数が少ないので傾向というほどのことは分かりません。

これらのデータから解ることは、唯一医学部合格が増えている洛南も、それ以上に東大・京大の合格者が減っているということです。洛南は2006年に共学化して、高校1期生が2009年に卒業、附属中1期生が2012年に卒業しており、その頃から医学部合格数が大きく増えています。理系女子の場合、理工系よりも医薬系への進学志向が高いと言われていますので、洛南の医学部合格増は共学化の影響が大きいのでしょう。しかし一方で東大京大国医の合格総数は減少しているので、学校全体としての最難関群への合格力は低下しています。洛星など他の3校についても医学部合格数は増えずに、京大合格数だけが一方的に減り続けています。

社会経済的な要因を背景とする全国的な医学部志向の高まりが、京都の私立一貫校の生徒の大学志望状況にも影響を与えているのは確かでしょう。しかし、単に医学部志望者が増えただけなら、例え京大合格数が減ったとしても、東大京大国医の合格総数には変化はないはずです。ところが実際には4校すべてが減少しています。

したがって、洛南や洛星の京大合格数の減少の理由としては、00年代中盤以降の公立高校の台頭によって、東大京大国医に合格し得る力を持った生徒が私立一貫校に集まりにくくなったためとの見方が妥当だと思われます。

難関国立10大学+医学科合格数ランキング2020

2020年版の京都府内高校の難関大学合格数ランキングです。当ブログでの「難関大学」とは、7つの旧帝大および一橋、東京工業、神戸の各大学と国公立大学医学部医学科(国公医)のことを指します。

1位は今年も洛南でしたが、合格総数は前年から15人減少して、2年連続で200人を割り込み、1990年以降で最も少ない合格数にとどまりました。東大はやや増えましたが、京大と国公医が減少しています。阪大の合格数も過去30年で最少となっています。

2位の洛星も、前年から東大12人減、京大2人減、国公医14人減と大きく減らしました。最難関群(東大、京大、国公医)の合格数が80人を下回るのは、確認できる限りでは1985年以降で初めてです。

3位には堀川が復帰しました。東大と京大はやや減らしましたが、国公医が6人増、阪大が13人増となったことで西京を上回りました。

西京は4位に順位を下げました。東大は過去最高の5人合格、京大も前年から3人増で最難関群は過去2番目の合格数となりました。ただし、阪大と神戸大は大きく減らしており、難関大合計では6年ぶりに90人を下回りました。

嵯峨野は東大は0人でしたが、京大と国公医が増加し、最難関群の合計では過去最高の31人となりました。一方で難関大の合格数全体では2年連続の減少です。

洛北は京大が前年から倍増の22人となり、最難関群の合格数で3年ぶりに嵯峨野を上回りました。難関大合計でも中高一貫化後では最多となる56人が合格しています。

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※堀川の北海道大合格数を1から4へ修正(2020/05/20)

洛星の北海道大合格数を8から9へ修正(2020/07/23)

7位以下では、桃山が京大は減らしたものの、代わりに国公医が増えたため最難関群の合格数としては同校の平均的な水準でした。また難関大合計で36人合格は少なくとも1980年以降では同校にとって最多だと思われます。

公立では他に福知山が京大7人と大幅増だったため、難関大合計でも5年ぶりに20人台を回復しました。一方で昨年躍進した山城は、今年は大幅に減少して一昨年以前の水準に逆戻りしました。

私立・国立では、昨年低調だった立命館、京教大附属、京都女子、東山といった中堅グループの最難関群合格数が揃ってやや増加しました。とはいえ、これらの学校は過去5年平均で10名前後の合格者がいますので、目立った変化ではありません。

京都の高校からの医学部合格数 2020

2020年度入試での京都の高校からの国公立大学医学部医学科合格数を紹介します。合計で23校の176人が合格しました。昨年は24校から186人の合格でしたので10名減であり、京都府全体の医学部合格数は4年連続で減少しています。

1位洛南と2位洛星は例年通りですが、両校あわせての合格数は98人にとどまり(昨年は121人)、2011年以来9年ぶりに100人を下回りました。

 

洛南 合格数69(現役42)

 東京3 京都8 大阪5 名古屋2 神戸2 京都府立医科11

 秋田1 新潟1 富山2 山梨1 浜松医科1 名古屋市立1 三重2 

 滋賀医科10 大阪市立2 奈良県立医科8 鳥取2 島根1 山口1 

 徳島1 愛媛1 高知1 佐賀1 熊本1 

 

洛星 合格数29(現役17)

 東京1 京都1 大阪1 神戸2 京都府立医科12

 旭川医科1 千葉1 福井2 山梨1 岐阜1 大阪市立2 

 鳥取1 岡山1 徳島2

 

堀川 合格数16(現役6)

 大阪1 京都府立医科4 

 富山2 福井2 山梨1 滋賀医科2 

 大阪市立1 奈良県立医科1 和歌山県立医科1 広島1

 

西京 合格数8(現役4)

 京都府立医科5 滋賀医科2 浜松医科1

  

 洛北 合格数8(現役4)

 神戸1 京都府立医科1

 金沢1 福井1 滋賀医科1 和歌山県立医科1 愛媛1 熊本1 

  

京都女子 合格数6(現役4)

 京都府立医科1 滋賀医科3 弘前1 福井1

 

嵯峨野 合格数6(現浪不明)

 福井1 信州1 三重1 滋賀医科2 琉球1

 

東山 合格数6(現浪不明)

 京都府立医科1 札幌医科1 浜松医科1 

 滋賀医科2 奈良県立医科1

 

桃山 合格数5(現浪不明)

 大阪1 滋賀医科1 広島1 大分1 宮崎1

 

立命館 合格数5(現役4)

 京都府立医科2 福井1 浜松医科1 滋賀医科1 

 

同志社 合格数4(現役2)

 京都府立医科1 滋賀医科2 高知1

 

京教大附属 合格数2(現役1)

 滋賀医科1 奈良県立医科1

 

京都共栄学園 合格数2(現浪不明)

 京都府立医科1 金沢1

 

京産大附属 合格数1(現浪不明)

 滋賀医科1

 

京都文教 合格数1(現役1)

 京都府立医科1

 

京都成章 合格数1(浪人1)

 岡山1

 

京都橘 合格数1(現浪不明)

 滋賀医科1

 

園部 合格数1(浪人1)

 滋賀医科1

 

同志社女子 合格数1(現役1)

 滋賀医科1

 

南陽 合格数1(浪人1)

 滋賀医科1

 

福知山 合格数1(現浪不明)

 愛媛1

 

宮津 合格数1(浪人1)

 島根1

 

龍谷大平安 合格数1(浪人1)

 奈良県立医科1

 

 

 

 

2020年 京都大学合格数ランキング(前後期確定版)

期(法学部特色入試)の結果も含めた京都大学合格者ランキングです。前回の暫定ランキングから順位が変動した学校がいくつかあります。

洛星は11位となりました。1961年に39人合格で8位となって以来、59年間連続でトップ10以内を維持していましたが、ついに途切れました。

洛南は52人合格にとどまりました。1985年に50人で5位となっていますが、合格者数が50人台になったのはその時以来です。近年の洛南の東大京大合格者数減少は、いわゆる「医学部シフト」の結果だと思われますが、国公立医学科の合格数も今年は減少しているようです(まだ、全容は不明ですが)。 

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2020年 京都大学合格数ランキング(暫定版)

2020年の京都大学の高校別合格数ランキングです。

合格数を集計途中の学校がありますし、後期(法学部特色入試)の発表もまだですので、今後数字が変化します。あくまで現時点での暫定ランキングであることをご了承ください。

なお、21位以下は京都府内の高校のみを掲載しています。

北野高校はこのまま3年連続の1位となることが確実です。合格者数が3桁となるのは2009年の洛南(105人合格)以来の快挙です。

2位には昨年より29人もの大幅増で天王寺が入りました。大阪の公立高校が京大ランキングの1位2位を占めるのは1977年以来、43年ぶりです。

京都関係では洛南の7位が最高でした。洛南の合格数が60人を下回るのは1985年以来、35年ぶりとなります。

洛星は暫定11位ですので、このままだと1961年以来続いてきた京大ランキング10位以内から陥落することとなります。

京都の公立高校では、堀川が減らしましたが、西京と嵯峨野はやや増加です。西京は東大合格も5人となっており、こちらは同校にとって過去最高と思われます。洛北は昨年から倍増して中高一貫化後では3度目となる20人台の合格数です。京都府北部の伝統校である福知山が前年から大きく増やして7名合格でした。福知山の京大合格数が5名以上となるのは20年ぶりです。

※新たに判明したものを含めて表を修正しました。

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京都大学特色入試 5年累計合格数ランキング

京都府内の高校について、京都大学の特色入試が始まった2016年から今年までの5年間の累計合格者数をまとめました。

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※法学部は日程や選考方法が他学部と大きく異なるため、集計の対象としていません。なお法学部特色入試合格数は堀川、洛星、洛南が各1名です。

 

1位は西京で、これまでに15名が特色入試で合格しました。全国ランキングでも大阪桐蔭の16名に次いで西京が2位となります。2位には堀川、洛南、洛北の3校が並びました。全国ランキングでも、この3校が西京に次いで3位です。

合格数が2桁に達している上位の4校は、京大特色入試が開始された2016年以来、5年間連続で合格者を輩出しています。

東大推薦・京大特色入試2020 京都からの合格数

大の推薦入試、京大の特色入試は2016年に開始されましたので今年で節目の5年目になります。2月12日までに両大学から合格発表がありましたので(後期日程でおこなわれる京大法学部を除く)、報道されている京都の高校からの合格状況を紹介します。

東京大学

 洛星1(理)

京都大学

 西京4(医人3 工1)

 堀川3(文1 工2)

 洛北3(工1 薬1 医人1)

 洛南3(文2 経1)

 嵯峨野1(農)

 京都聖母1(医人)

 ノートルダム女1(医人)

 東山1(経)

 

西京、堀川、洛南、洛北の4校は京大特色入試において5年連続での合格者輩出となります。京都聖母学院、ノートルダム女学院、東山からは初の合格者となりました。