2019年度入試までの合格実績を反映した京都府内の高校の東大累計合格数ランキングです(上位20校)。単年での東大合格数で洛星が洛南を上回ったのは29年振りです。京都府全体の東大合格数は44人で昨年と同じでした。
先日、日本テレビ系列で放送された『全国高等学校クイズ選手権』(高校生クイズ)で洛北高校チームが優勝したからというわけでもないのですが、今回は京都府立洛北高校と京都市立西京高校をとりあげてみます。
洛北と西京に附属中学が開設されたのは2004年のことです。同じ公立中高一貫校として比較されることも多い両校ですが、大学進学実績の面では西京のほうがリードしているというのが京都での一般的な見方であると思います。
※旧帝大および神戸大の医学科合格者は各大学の合格数と国公医の両方に計上した上で、①~③計などの各合計欄で重複する分を差し引いています。したがって単純に各欄を合計した数とは一致しない場合があります。
上の表は2015年から2019年の5年間の、いわゆる難関国立大学への両校の合格実績を比較したものです。
京大合格数では年平均で10人以上、西京が上回っています。関西圏の進学校の生徒が目指すことが多い阪大、神大の合格数ではさらに大きな差がついています。
卒業生数に占める最難関大(東大・京大・国公医)、難関大(東大京大以外の旧帝大と一橋大、東工大、神大)等への合格割合を円グラフで表すと上のようになります。その他にはすべての私立大と短大、専門学校などが入ります。
西京では全体の7割が国公立大に合格するのに比べ、洛北では4割です。特に両校で差が大きいのは難関大学群です。大阪大、神戸大の合格数の違いがこの差を生んでいると思われます。
ところで以前の記事でも触れましたが、学力別に複数のコースに分かれている高校の場合、学校全体の進学実績をもって他校と比較することは、あまり意味がないと考えています。大学群別に合格割合を出すような場合には、分母となる数字を学校全体とするか、コースごとにするかで、受ける印象がかなり異なります(京都では、私立の両雄である洛星と洛南を比較する際にも、同じような問題があります)。
とりわけ、実際にその高校(あるいは中学)を受験しようかと検討している方にとっては、自分が志望するコースでどんな授業がおこなわれて、卒業後はどういう進路になっているのかは重要ですが、同じ学校であっても他のコースについての関心は低いのが普通ではないかと思われます。
洛北高校には現在3つのコースがあります。①サイエンス科(定員80人)、②普通科文理コース(定員160人)、③普通科スポーツ総合専攻(定員40人)です。中高一貫コースであるサイエンス科は高校からの募集をおこなっておらず、附属中学からの内部進学生のみで構成されます。このため高校から入学する、文理コースやスポーツ専攻の生徒とは別カリキュラムのまま授業が進みます。学校によっては入学後の成績によってコース間の移動が可能な、いわゆる”選抜方式”をとっているところもありますが、洛北はそういう仕組みでもありません。
もう一方の西京高校はコース別になっていません。附属中学から内部進学した生徒(定員120)と、高校から入学した生徒(定員160)は同じエンタープライジング科に所属します。1年生の間は内部進学組と外部入学組は別々のクラスで授業を受けますが、2年生からは混合クラスとなり、同じ教材を使って同じ授業を受けて卒業していきます。
なお、京都の公立高校入試では制度上、前期と中期の2回の受験機会がありますが、専門学科のみの高校である西京は前期選抜で定員の100%募集をおこなっているために、中期選抜の比重が高い洛北の普通科と比較して、優秀な中学生を集めやすい仕組みに事実上なっています。
これは洛北と西京だけでなく、堀川、嵯峨野、桃山などの専門学科を持つ高校と、その他の公立校の普通科との関係にもあてはまります。大学入試で前期募集しかない東大・京大等と、後期募集の定員が比較的多く、前期の滑り止めになる大学との関係に似ていると言うと、京都以外の方にも何となくわかってもらえるでしょうか。
あまり、露骨な書き方をすると角がたちますが、京都の公立高校入試は特定の学校の進学実績を高めるために、優秀な中学生をそれら一部の高校の専門学科に誘導するような入試制度になっています。この点からも専門学科と普通科を同じ土俵で比較することには少々躊躇があります。
前置きが長くなりましたが、洛北と西京を学校全体の進学実績で比べるだけでは上記の理由から不十分だろうと思いますので、専門学科同士での比較もしてみました。
※欲をいえば、洛北と西京それぞれの中高一貫生の進学実績を比較したいのですが、残念ながら西京のデータが不明ですので、西京については高校入学生を含むエンタープライジング科の実績とします。
定員280名の西京高校エンタープライジング科は5年間の累計卒業生数が1381名いますので、定員80名の洛北高校中高一貫コース(サイエンス科)と比較すると卒業生数は3.5倍です。
大学群別の合格割合をみると、最難関大(東大・京大・国公医)では洛北が西京の2倍以上の実績となっています。洛北一貫生は卒業生の50%が最難関および難関国立大学に合格していますので、その点でも西京の37%を上回っています。
京教大附属高校の過去15年間の難関大学合格者数の推移です。
今年は京大合格数が4人にとどまりました。これは学校開設以来、最少の合格数です。10年前の2009年には京都大学に30名が合格していましたから、変化の大きさに驚かされます。
国公医を含めた最難関大学群の合格数7人、率にして3.5%というのも過去最低の記録となります。
注1)地帝一工神:地方旧帝大(北海道、東北、名古屋、大阪、九州)および一橋大、東工大、神戸大
注2)国公医:国公立大医学部医学科ことですが、東大理科3類と京大医学科の合格数はそれぞれの大学合格数の方にカウントしているので国公医には含んでいません。その他の地方旧帝大と神戸大医学科は国公医に含んでいます。したがって「地帝一工神」には医学科合格数は含んでいません。
注3)最難関率:東大・京大・国公医の合格総数を当該年度の卒業生数で除した割合
注4)難関大率:東大・京大・国公医および地帝一工神の合格総数を当該年度の卒業生数で除した割合
前年との比較では京大が4人減、東大が3人減でしたが、国公医が7人増だったため、最難関群の合格数は前年と同じでした。国公医合格数が10人を超えたのは、中高一貫コース開設後では初めてのことです。
注1)地帝一工神:地方旧帝大(北海道、東北、名古屋、大阪、九州)および一橋大、東工大、神戸大
注2)国公医:国公立大医学部医学科の合格数を表しますが、東大理3と京大医学科の合格数はそれぞれの大学合格数の方にカウントしているので国公医には含んでいません。その他の地方旧帝大と神戸大医学科は国公医に含んでいます。したがって「地帝一工神」には医学科合格数は含んでいません。
注3)最難関率:東大・京大・国公医の合格総数を当該年度の卒業生数で除した割合
注4)難関大率:東大・京大・国公医および地帝一工神の合格総数を当該年度の卒業生数で除した割合
今年の嵯峨野高校は東大が昨年から3人増えましたが、京大は4人減でした。国公医も3人減のため最難関群の合計では過去最高であった昨年より減少しました。
地帝一工神も含めた難関大の合格総数でも昨年からは6名減という結果でしたので2016年以降、3年連続で上昇していた進学実績も小休止といった感じです。それでも嵯峨野にとっては過去2番目の実績ですので、水準は維持されています。
注1)地帝一工神:地方旧帝大(北海道、東北、名古屋、大阪、九州)および一橋大、東工大、神戸大
注2)国公医:国公立大医学部医学科ことですが、東大理科3類と京大医学科の合格数はそれぞれの大学合格数の方にカウントしているので国公医には含んでいません。その他の地方旧帝大と神戸大医学科は国公医に含んでいます。したがって「地帝一工神」には医学科合格数は含んでいません。
注3)最難関率:東大・京大・国公医の合格総数を当該年度の卒業生数で除した割合
注4)難関大率:東大・京大・国公医および地帝一工神の合格総数を当該年度の卒業生数で除した割合
西京高校の過去14年分の難関大合格数の推移です。
今年の合格実績の特徴は、2003年に西京に特進系専門学科(エンタープライジング科)が設置されて以降初めて、難関大学合格総数で堀川を上回ったことです。
内訳では京大は前年比で5人減だったものの、国公医が5人増であり、阪大合格数は西京として初めて30人を超えました。京都の高校の中では長年、洛南が大阪大学の合格数でトップでしたが今年は西京が初めて京都1位となりました。また、神戸大の合格数でも西京として過去2番目の合格数でした。
堀川との比較では、最難関群(東大・京大・国公医)の合格数は半分ほどですが、地帝一工神では逆に2倍以上となっています。
注1)地帝一工神:地方旧帝大(北海道、東北、名古屋、大阪、九州)および一橋大、東工大、神戸大
注2)国公医:国公立大医学部医学科ことですが、東大理科3類と京大医学科の合格数はそれぞれの大学合格数の方にカウントしているので国公医には含んでいません。その他の地方旧帝大と神戸大医学科は国公医に含んでいます。したがって「地帝一工神」には医学科合格数は含んでいません。
注3)最難関率:東大・京大・国公医の合格総数を当該年度の卒業生数で除した割合
注4)難関大率:東大・京大・国公医および地帝一工神の合格総数を当該年度の卒業生数で除した割合
京大は昨年から5人増えて50人を超えました。全体の京大合格ランキングでも過去最高タイの4位です。
ただ、東大は横ばい、国公医は1人増であり、最難関群全体の合格数は65人にとどまりました。大きく落ち込んだ昨年よりは増えましたが、2015年~2017年の実績(平均78.6人が合格)と比較すると低い水準であるといえます。
堀川高校は探究科を設置して以来、年によって多少の上下はありながらも基本的に右肩上がりのグラフを描いてきましたが、2017年からの3年間は足踏み状態であることが見て取れます。
注1)地帝一工神:地方旧帝大(北海道、東北、名古屋、大阪、九州)および一橋大、東工大、神戸大
注2)国公医:国公立大医学部医学科ことですが、東大理科3類と京大医学科の合格数はそれぞれの大学合格数の方にカウントしているので国公医には含んでいません。その他の地方旧帝大と神戸大医学科は国公医に含んでいます。したがって「地帝一工神」には医学科合格数は含んでいません。
注3)最難関率:東大・京大・国公医の合格総数を当該年度の卒業生数で除した割合
注4)難関大率:東大・京大・国公医および地帝一工神の合格総数を当該年度の卒業生数で除した割合